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東京地方裁判所 昭和62年(ワ)534号 判決

一 原告が本件実用新案権を有していたことは、当事者間に争いがない。

二 成立に争いのない甲第四号証によれば、本件考案の実用新案登録請求の範囲の記載が本件公報の該当欄記載のとおりであることが認められ、右事実と右甲第四号証によれば、本件考案の構成要件は、請求の原因3(一)記載のとおりであることが認められる。

三 請求の原因4の事実は、当事者間に争いがない。

四 前掲甲第四号証によれば、本件考案は、名称を「カツター装置付きテープホルダー」とする、接着テープ類を切断するカツター装置を施したホルダーに関する考案であつて、前二認定の構成要件からなるものであり、特に、「操作摘み9(数字は、本件明細書の考案の詳細な説明の欄及び図面記載のものを示す。本件考案について以下同じ。)を有する可動刃4の緩挿軸8に幅截断用切刃7を固着」するという構成を採用し、これにより、摘み9を回して幅截断用切刃7を回して引き出すテープを長手方向に沿つて截断することができるという効果を奏するものと認められる。右認定の事実によれば、本件考案の構成要件Aにいう「テープ」とは、接着テープ及びこれに類するものを意味するものと解されるところ、被告製品(一)及び(二)は、いずれも乾式電子複写機及び専用オプシヨン装置であり、また、被告製品(三)は、乾式ジアゾ複写機であつて、本件考案に係るテープホルダーとは全く別個のものであるうえ、右各製品に装備されているロール紙(ロール感光紙)支持機構は、通常の技術的意味において、本件考案にいう「カツター装置付きテープホルダー」なる概念に含まれるものとは到底解することができないから、被告製品のロール紙(ロール感光紙)支持機構は、既にこの点において、本件考案の右構成要件を欠き、本件考案の技術的範囲に属しないものというべきである。のみならず、本件考案は、前記のとおり、構成要件C、すなわち、テープを長手方向に沿つて截断するための幅截断用切刃7を可動刃4の緩挿軸8に固着することをその要件としているところ、別紙第一目録及び第二目録の記載によれば、被告製品(一)及び(二)の幅截断用カツター(本件考案の幅截断用切刃に相当する。)である上・下回転刃49、48は、いずれも長さ切断用カツター(本件考案の固定刃2、可動刃4に相当する。)を構成する固定刃21、回転刃22から離れた別個の軸に設置されており、また、別紙第三目録の記載によれば、被告製品(三)の幅截断用カツター(本件考案の幅截断用切刃に相当する。)である上・下回転刃5、4は、いずれも長さ切断用カツター(本件考案の固定刃2、可動刃4に相当する。)を構成する固定刃2、回転刃3とは別個の軸に設置されていることが認められ、したがつて、被告製品のロール紙(ロール感光紙)支持機構は、いずれも本件考案の構成要件Cを欠くことは明らかであり、この点からも本件考案の技術的範囲に属しないものといわざるを得ない。原告は、本件考案にいう「テープ」は、接着テープのように巻回されているテープ類をいい、接着テープをその典型例とするが、材質、寸法、用途等については全く限定のないものであつて、被告製品のテープ状のロール紙(ロール感光紙)のように非接着性のものも含み、また、構成要件Cにいう「緩挿軸」は、一軸のものに限定されないのであつて、被告製品は、本件考案の可動刃に該当する回転刃を、本件考案の幅截断用切刃に該当する回転刃を固着する緩挿軸から離して設置しているけれども、本件考案の構成要件Cを充足する旨主張するが、前掲甲第四号証によれば、本件考案の技術内容に関する右主張事実は、本件明細書及び願書添付の図面の記載に基づくものとは認められず、したがつて、原告の右主張は、ひつきよう、独自の見解というべきであつて、採用することができない。なお、本件考案の構成要件A又はCと被告製品との対比に関する原告のその余の主張も、前説示に徴し、採用するに由ないものというほかはない。

五 以上によれば、原告の本訴請求は、その余の点について判断するまでもなく、理由がないから、これを棄却することとする。

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